ももちゃんのねこ

インタビュー
わだ ことみ

短編アニメーションの珠玉の名作「ももちゃんのねこ」は、2016年に幼児雑誌『めばえ』増刊号のDVD付録のアニメとして初登場。
その後、世界の映像クリエイターたちの作品が集うSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017にて、アニメーション部門国内コンペティション観客賞を受賞。日本をはじめポーランド、香港、インドネシアなど、数々の国際映画祭でも公式上映されてきた作品です。
そのアニメをもとに、新たな物語を紡いで創作されたのが絵本版『ももちゃんのねこ』。

「命の大切さ」をテーマに描いた本作の原作者わだ ことみさんは、これまでに多数の絵本や教育書を手がけています。たくさんの動物に囲まれて育ったご自身の幼少期、この作品を作られた背景や、家族としての動物の命の大切さなどについて伺いました。

幼児教育研究家 わだ ことみさん
アニメーションと絵本『ももちゃんのねこ』の作話を担当しました。

長年、塾や予備校、幼児教室で幼児から高校生までを指導。2人の娘の子育てをきっかけに絵本の執筆を始める。これまでに知育ドリル、知育絵本、しかけ絵本、音が出る絵本、親向け英語教材など400冊以上を執筆、監修。知育映像の構成・監修、幼児雑誌での連載も行っている。
動物が大好きで幼い頃より虫、鳥、犬、猫、かめ、うさぎ、ハムスターなどを飼ってきた。
絵本に「ママの手をにぎって」「みずいろのこびん」(大井淳子・絵/岩崎書店)、「たいそうえほん おしりふりふりだーれ?」(かわぐちえり・絵/岩崎書店)、「おめん」(ささきようこ・絵/ポプラ社)、「はみがきおねがい!」(市原淳・絵/岩崎書店)、「にゃんにゃんわん!」(冬野いちこ・絵/岩崎書店)など多数ある。

作話を担当した、わだ ことみさんにインタビュー

――たくさんの動物たちと共に育ったそうですね?

生まれ育った実家では何十匹ものペットを飼っていました。
犬は多頭飼いでいつも5〜6匹いて、手乗り文鳥やインコなどは10羽以上、熱帯魚用の水槽は5つもあり、スズムシも卵からふ化させ、秋になると家中でスズムシが鳴いていました。

犬も猫もいて、まるで動物園状態。動物を好きすぎる家族のなかで育ちました。犬の出産に立ち会うこともしょっちゅうで、物心ついたときには動物のお世話を使命のように感じていました。

そして大人になってからも家族と一緒に、犬やうさぎ、ハムスター、猫など、たくさんのペットを迎えてきました。

――忘れられないペットとの思い出は?

特に思い出深いのは10年以上前に亡くなった犬のケンタです。
扁平上皮がんという「がん」が鼻の中にでき、獣医さんに通い続けたり、がんの摘出手術や放射線治療も受けましたが病状はひどく、次第にがんが進行し顔がくずれていきました。

放射線治療のときは麻酔をするのですが、麻酔が覚めたケンタは私を見つけるとニコリとした表情を見せました。そして立ち上がってヨロヨロと近づいてくるので、ぎゅっと抱きしめました。
すごく大変な状況でも、生きることにひたすら前向きだった姿が印象に残っています。

最後はがんが頭の中に転移し、私のことがわからなくなってしまい、うなったり噛みついたりされました。
それでもケンタのことが愛おしく、かわいそうで、すごく切なかったのですが、そのとき獣医さんに言われた「どんな状態であっても、飼い主さんがペットにかけた愛情は伝わっていますよ」という言葉が支えになりました。

うさぎのるなちゃんも飼っていましたが、子宮がんの手術後、肺がんになり、最期は酸素ボックスの中で看ていました。

ちょうど次女が結婚式を控えており、式を挙げる前までは辛い様子を見せなかったるなちゃんですが、式の後、家に戻ると体調が急変し、病院に連れていくと肺がもうすでに真っ白になっていました。

「ペットは飼い主さんの幸せを一番に願っているから、結婚式に行けなくなったりしないように、具合が悪いところをわざと見せなかったのかもしれませんね」と獣医さんに言われ、飼い主とペットの間の不思議な絆をものすごく感じました。るなちゃんは苦しみ、最後は私の両手の中にとびこんで、ガクンと大きく体を揺らして亡くなりました。

ペットにはかわいいなと思う面と、病気になったり、いなくなって心配させられたりする面もありますが、いいことも悪いことも全部含めて受け入れて「絆」ができていくものだと思います。

――ペットの死の受け入れ方についてお聞かせください。

今作『ももちゃんのねこ』のテーマは「生きることと死ぬこと」です。

寿命の短いペットは必ず飼い主より先に死んでしまいます。
きっとどこかで死を受け入れなくてはいけないけれど、命が終わっても、つくってきた絆はずっと続くと思うのです。

ペットを亡くすと、深い喪失感と悲しみでペットロスになります。絆が強かった分だけ、ペットを愛した分だけ悲しいのだと思います。

ペットの死後に悲しんだり後悔したりすることも、それも含めて「絆」だと思っています。しかし、「もっとこうしてあげればよかった」などと長く思い続けると、亡くなったペットも悲しいのではないでしょうか。

私にもペットロスの経験があり、何を見ても亡くなったペットを思い出し、泣いてばかりですごく落ち込んでいたのですが、先程の獣医さんの言う通り「飼い主が幸せになること」がペットの願いであると思い、前向きな気持ちに切り替えることができました。

その方がペットも喜んでくれるだろうし、私が前向きに一生懸命生きることが、亡くなった命に対して供養にもなると思うのです。

――このお話で伝えたい思いは?

これまでたくさんのペットを飼ってきましたが、たくさんのことをもらってばかりで私からは何もお返しできていないと思っていました。そのことが動物をテーマにしたお話を作るきっかけになりました。

『ももちゃんのねこ』で、これからペットを飼う子どもたちが「ペットは家族同様なんだ」ということをわかり、大切に育てて虐待や遺棄のようなことが少しでも減ってほしいと思います。

また、読んでくださった方それぞれのストーリーになってほしいし、ペットを飼っていた方は久しぶりにその子ことを思い出してほしいと思います。

ペットの願いは、最後まで大好きな飼い主さんといることです。「ペットはずっと最期まであなたと一緒にいることが幸せなんだよ」と、小さなお子さんにも伝わるといいですね。

――この作品は最初、2016年に幼児雑誌『めばえ』増刊号の付録DVDのアニメとして発表されました。

DVDを観た親御さんから「親子で初めて一緒に泣きました」などの感想が寄せられ、3、4歳のお子さんにも内容がわかってもらえたことを知りました。

子どもたちの心がしっかりと育っているのが嬉しくて、やさしさや命を大切に思う心の小さなダイアモンドみたいなものを大事にしてほしいと思いました。

それは私自身の子育てでも感じたことがありました。娘が小学校1年生くらいのとき、昼間に野良犬を見かけたその夜に、「あの野良ちゃんは帰るところがあるのかな」「保健所の人が来たのかな?」ととても心配していたのです。

そんな様子を見て、やさしい気持ちが育っていると思いました。子どものそんなところを信じて大事にしてあげると、人のことも大切にできるやさしい気持ちが育っていくと思うのです。

「ペットとの出会いには縁みたいなものがある」と話すわださん。もともと捨て猫だった16歳の「こつぶちゃん」を飼っています。

――「ももちゃん」のモデルは?

主人公の「ももちゃん」には、私が娘たちを育てた経験と、私自身のペットとの体験も反映されています。

ももちゃんが思春期になって、いろんな悩み事があったときに、長い間きょうだいのように暮らしてきたみゅうが黙って側にいてくれるシーンがありますが、私も娘にもあったことです。

親とギスギスしていても、「ペットだけはわかってくれる」というように、ペットには心が開けて楽になれると思うのです。

そういうところはアニメでも絵本でもぜひ描きたかったところで、ももちゃんが学校に行けなくなる場面はアニメにはないけれど絵本には入れてもらいました。

十数年前のことですが、娘が中学生のとき学校に行けない時期がありました。そんなときも犬のケンタとだけはしゃべっていたんです。

親や友達と話せないときでもペットには心を開けるんですよね。「何も言ってくれない」からいいのかもしれません。ありのままの自分をペットは受けとめてくれます。さわるだけで心が伝わるのでしょうか。

孤独感や切なさを共有してくれる存在はペットだけだと思います。ケンタがいてくれたことで私も娘たちもものすごく救われました。

――アニメと絵本、作品作りはどのように進みましたか?

アニメと絵本の作画を担当してくれた今林由佳さんとの出会いは偶然でした。

それぞれ別件で編集部にいるときにお会いすることができて、過去のアニメ作品を拝見し、お話ししていくなかで、今林さんなら命や死に対する考え方に共感してもらえるかな? と思ったのです。

また、当時「めばえ増刊号」の編集担当だった菊池さんも猫を飼っていて、動物写真家・岩合光昭さんの猫の写真集を3冊編集されています。岩合さんの猫が死んだときに見つかったのが、飼い主の岩合さんがいつも座っていた席の床の下だったというお話を菊池さんからお聞きしました。

今林さんの命に対する思い、そして編集の菊池さんの猫に対する感性や思いの深さは私自身と方向性が同じで話も盛り上がり、運命的な出会いだと感じました。

細やかな心情を描いてくださった今林さんはもちろん、背景や音楽を作ってくださった方との感性の響き合い、そして信頼関係がなかったらアニメは完成できなかっただろうと思っています。スタッフの方には大変感謝しています。

猫の「みゅう」の声は、「本物らしくないとリアリティに欠けてしまう」という菊池さんの意見に沿って、6〜7人の声優さんからオーディションで決めました。 結局、3人で意見が一致した方に「みゅう」の声をお願いしました。

――絵本でお気に入りのシーンは?

悲しいお話ではありますが、悲しく虚無感のあるシーンだけではなく、「ペットとの絆の大切さ」「いつでもまた会えるよ」というシーンは、絵にもこだわって盛り込んでもらいました。

みゅうが走馬灯のように思い出をたくさん振り返っているところは特にお気に入りです。

もし亡くなったペットが目の前に現れたら、すぐさま抱っこして「ずっと大好きだよ!」と、ぎゅうっと抱きしめてあげたいという思いがあり、絵本のなかにはそういう夢や希望を込めたシーンも出てきます。

――アニメが映画祭で受賞したときの感想は?

アニメ作品はSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017にて、アニメーション部門国内コンペティション観客賞を受賞。来場者の投票を集計した後に発表されました。

絵も背景も、声優さんも音楽もすばらしいアニメだったので、みんなが心をひとつにして受賞できたのだと思いました。

死とか生というのは、どんな人の心にも普遍的に届くものなので、アニメを観たみなさんの心の中にある同じようなストーリーと共鳴したのかなとも思いました。

一方通行に映像を届けるのではなく、観た方の心の内側との共感を得られた内容だから「観客賞」を受賞できたのだと思います。

――アニメと絵本、大きな違いはありますか?

アニメーションを絵本化するにあたっては、命とか魂とか、家族の絆とか、命が亡くなるってどういうことなのかという原点のようなことを、今林さん、菊池さんと一から話し合いをしました。

絵本の場合、1枚の絵をゆっくり見ているとみゅうの仕草ひとつでも「みゅうはももちゃんに構ってほしいんだな」とか「こんなに好きなんだな」とか、たくさんのことを感じることができます。1枚の絵にはたくさんの思いが詰まっていますが、アニメはその点は違っていると思います。

ももちゃんが亡くなったみゅうを抱きしめ続ける場面は絵本のみです。飼い主の深い愛情と悲しみを伝えたいと思いました。

ペットが亡くなっても絆が切れてしまうわけではないし、この強い絆があるからこそ今を大切にしようと思ってくださればありがたいですし、ペットを失った方には「あんなことがあったな」などと久しぶりに思い出したりしてほしいです。
ペットをこれから飼う方には、ペットはすばらしいと伝えたいですね。

14年前、2歳ごろのこつぶちゃんと和田さん、2人の娘さんと。

DVDアニメの名作が絵本に!

『ももちゃんのねこ』は2016年に付録としてDVD化されたものの、それ以外では入手できなかったアニメ作品の待望の書籍化です。やさしいストーリーと絵柄の名作を、お手元に置いてください。

絵本の発売を記念して『めばえ』増刊号春号(2022年3月14日ごろ発売)では付録DVDにアニメが再録されます。絵本と併せて、こちらもぜひお楽しみください。

構成/村重真紀

インタビュー
いまばやし ゆか

短編アニメーションの珠玉の名作「ももちゃんのねこ」は、2016年に幼児雑誌『めばえ』増刊号のDVD付録のアニメとして初登場。
その後、世界の映像クリエイターたちの作品が集うSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017にて、アニメーション部門国内コンペティション観客賞を受賞。日本をはじめポーランド、香港、インドネシアなど、数々の国際映画祭でも公式上映されてきた作品です。
そのアニメをもとに、新たな物語を紡いで創作されたのが絵本版『ももちゃんのねこ』。
ももちゃんと子猫のみゅうは、幼い頃から一緒に成長し、かけがえのない家族になっていきます。でも、みゅうはももちゃんよりずっと早く年老いてしまい……ペットを超えた家族の絆を描いた奇跡の物語です。
絵本版とアニメ、両方の作画を手がけたのが、アニメーション監督で絵本画家のいまばやし ゆかさんです。今回、絵本版の発売にあたって、この作品に込めた思いをお聞きしました。

アニメーション監督、絵本画家 いまばやし ゆかさん
アニメーションと絵本『ももちゃんのねこ』の全作画を担当しました。

東京藝術⼤学美術学部絵画科油画専攻卒業。同⼤学院映像研究科に進み、アニメーション作家として学生時代からコンペで入賞するなど活躍。2017年にSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で観客賞、同年、キネコ国際映画祭で日本作品賞ノミネート。2018年にキネコ国際映画祭でNHK制作の「貴女へ~ヒバクシャからの手紙」でキネコ国際映画祭日本作品賞グランプリ受賞。絵本に『どうぶつぱっかーん』シリーズ、『うれしいひのいただきまあす』(原作:わだことみ先生)など。

作画を担当したいまばやし ゆかさんにインタビュー

――「ももちゃんのねこ」のアニメが作られたのが2016年ですね。最初にこのお話と出会ったときの感想は?

ももちゃんと猫みゅうのお話ですが、ストーリーの軸が「命」だったので、それは多くの人が共感するものでもあり、「ぜひお手伝いさせてもらいたい」と思いました。
私自身、19歳の時に白血病にかかった経験があり、そのときに「生きることが当たり前ではない」と私なりに考えたりしたことがありました。それ以来「命」というのは自分のテーマにもなっていたのです。「ぜひやりたい!」という気持ちと、猫さんをはじめ動物を飼った経験がない私に「できるのかしら?」という相反する複雑な気持ちがありました。

ももちゃんがみゅうをやさしく抱きしめるシーンが絵本に何度か登場します。

――アニメと絵本の作画で気をつけた点はありますか?

アニメの場合は、場面によって時間の流れが出せますが、絵本は1枚の絵でその前後の時間の流れを想像させるという違いがあります。
アニメでは、キャラクターのその年齢ごとの喜怒哀楽を観る人が感じ取れるように意識して描いています。さらに喜怒哀楽の内容が年齢により変化していくことも描き出そうと留意しました。
けれども絵本の場合は、1枚の絵、つまり一瞬から感情を伝えることが必要なので、周りの背景や色合い、感触を通して、登場人物の心情をキャッチしやすいように作ることを意識しました。原作が同じであっても「アニメと絵本は別物だ」と言えると思います。
アニメはいろんな人の力を借りて作ることができます。猫ちゃんを飼っている人に猫のアニメートをお願いしたり、背景は優しく色鉛筆で描いてくださる方にお願いしたり、音楽で心情を伝えることが得意な方に音楽を……というように。アニメーションは合作、絵本は個人で進める作業、そこには大きな違いを感じましたね。
今回の絵本は1人で作業したわけですが、最初に人の力を借りて作れるアニメを経験していたから、より深い表現ができたのではと思います。最初から1人で作る絵本だったら、あまりにもそれだけで「いっぱいいっぱい」になっていたかもしれません。
猫を描く難しさとか作品への理解などは、数年前にアニメ作りを通して、人の力を借りながら知ることができました。その土台があったうえで、さらに、わだことみ先生と菊池編集長から、猫ちゃんの細かな仕草など絵を描くうえで沢山のアドバイスをいただけたので、安心して挑戦することができました。

――絵本の中でお気に入りの場面は?

お話の最後に出てくる、ももちゃんとみゅうが抱き合う場面が好きです。愛しくて大好きなもの抱きしめる安堵の気持ちだけではなく、切なさのある微笑みを描けたかな、と思っています。 愛しさの中の切なさ……時は常に流れていること、命は永遠じゃないことに目をやると、どうしようもない切なさがあふれます。
この場面は、切なさを根底に抱きながら、みゅうへの愛にあふれているので、この絵を見ると私も、恐れを伴う切なさから、慈しむ方へ解放されるような気持ちになるんです。

――絵本ならではの楽しみ方は?

アニメーションだと観る画面のサイズで大きさや印象が変わりますし、さわれませんが、絵本の場合はまるで猫に「出会えた」ようなサイズ感ですし、実際に触れることもできますね。絵本には絵本ならではの良さがあると思います。
デフォルメを控えリアル感を大切にし、さわりたくなるような絵柄にしたくて、猫の毛1本1本も丁寧に描きました。柔らかい色合いなのは、ぬくもりを感じられるものにしたかったからです。悲しくて苦しい場面でも、どこか包まれているような感覚を持てるように心がけて色を使いました。 

絵本より。思わずさわりたくなるような、猫のふわふわ感が伝わってきます。

――どのような方に絵本を読んでもらいたいと思いますか

お話の原作者である、わだことみ先生は「猫ちゃんを飼ったことのない方も、これから飼われる方も、今飼っている方も、過去に飼われていた方も……皆さんに読んでいただきたい」とおっしゃっていました。
動物と人間は命に隔たりがなく家族になれることを、この絵本の制作を通して教えていただけたので、私のようにまだペットを飼ったことがない方にもぜひ読んでいただきたいです。そして、動物に限らず「命」のお話なので、広くいろんな方に読んでいただけたらと思います。
人の人生の20〜 30年間がこの1冊にぎゅっと詰まっているので、追体験を楽しんでいただければいいなと思っています。
アニメ版をご覧になられた方から「2歳の子が泣いていました。死についてわかるようです」という声や、「親子で初めて一緒に泣きました。親の悲しそうな気持ちを子どもも察知しているのだと思います」という声をいただきました。
誰かを愛すること、思い出を共有すること、失うことの感情は小さなお子さんにも伝わるのだなぁと私たちも教えていただきました。
切ないラストシーンについて、わだ先生についてお聞きしたんです。すると、「死は無ではないと思います。残っている思い=宝がある。だからずっと心は、絆はつながっている」ということを教えてくださいました。
たとえば、ペットを失った悲しみ「ペットロス」がやってきても、その絆のつながりの温かさのおかげで前を向いていくことができます。そのような意味で、この本を必要としている方にも手に取っていただけたらと思っています。

――絵本とアニメの楽しみ方は?

アニメと絵本では、収録されているエピソードが少し違っています。アニメでは描ききれなかった、ももちゃんやももちゃんのお母さんの心情、成長期のももちゃんの様子などが盛り込まれています。ももちゃんとみゅうとの大切な場面も、絵本だとより広がりがあるように描けたと思っています。
アニメでは心情的に悲しく重いシーンでも、絵本だと音もないし動かないので、接しやすいかもしれません。アニメはアニメで、イメージのわく音声を聞くことができるので、はっきりと理解しやすい面もありますね。ぜひそれぞれを楽しんでみてください。

全編フルアニメーションが視聴できます!

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アニメより。仲良く遊ぶももちゃんとみゅう。

絵本とアニメでは盛り込まれているエピソードが異なっているので、両方で本作品をより深く楽しむことができます。絵本からでもアニメからでも、お好きなほうから「ももちゃんのねこ」のやさしい世界に入り込んでみてください。

撮影/岡本明洋 構成/村重真紀